*Adobe Illustratorを使って描いたイラストレーションの作成過程です。
今回は拡大画像はありません。
さて、四月という事で、春の絵を描いてみようというわけです。
「ああプランタン無理もない」という歌ですが、ご存知でしょうか、ご存知でないでしょうか。
歌詞はこちらから。
作詞サトウハチロー、ええェまたですかァ。
作曲中田喜直、なかだ よしなお先生です。
昭和28年発表の、いわゆるラジオ歌謡ですね。
ラジオ歌謡というのは、NHKで放送されていたラジオ番組のタイトルであり、そこで発表された数々の歌の総称でもあります。
作曲の中田喜直は「メダカの学校」や「夏の思い出」「雪の降るまちを」などを作った人で、サトウハチローとのコンビでは「ちいさい秋みつけた」があります。
発表は今回の「プランタン」の方が二年ほど早いですね。
歌ったのは藤山一郎と松田トシの男女デュエット。
藤山松田松田藤山の順で一番づつ独唱しています。
その後もたくさんの人がレコーディングしていますが、わたしはダークダックスやボニージャックスのようなグリー系カルテットとでも言いますか、そういうグループが歌っているのが好きですよ。
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さて、イメージですが、今回はあまりちゃんと決めていません。
決めないまま突入します。
なりゆきで、またしても描いて出しということで、なんとか今月中に完成を見たいと思っております。
とりあえず絵の中心は、二番の歌詞から、宵です人待つバルコニイのくだりでいってみようかということです。
人待つ女性です。
左にあるのは腰掛けです。
バルコニイの手すりに頬杖をついている様子。
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お洋服に柄を付けまして、
腰掛けに座ったところ。
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「プランタン」とは、フランス語で「春」という意味だそうです。
猫が騒ぐのも、影がもつれるのも、眠いのも、吐息も、もだえるのも、とにかく春なのだから無理もないです。
という歌ですね。
さて、バルコニイと、
そのむこうの建物の、
下書き、だけ。
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バルコニイ、例によって色は仮です。
建物の壁と窓。
屋根はスペイン瓦風。
重ねて変形。
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この歌自体が、いつの時代の、どんな場所をイメージして書かれたのか判りませんが、少なくとも、昭和28年の日本的風景ではないように思えるので、今回のこの絵も、何処とも知れない何時とも知れない、なんかそんな感じにしたいなあと思っておるのですが、どうなるでしょうか。
瓦の色をいろいろに変えました。
壁灯です、ゆれますほのかな灯りです。
壁に付けてみたら、大きさの割に細かく作り過ぎたかもしれません。
やりなおすかも。
合わせてみると瓦が大きいようなので、少し小さくして数を増やしました。
とりあえず出来たものを合わせてみましょ。
手すりを白くして、屋根全体にグラデーションをかけました。
今回は程よくグラデ使いたいと思います。
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猫です今夜もセレナーデ、です。
こういうのを描きましたが、
もう少し絡ませようという事で、
白い方を変えまして、
重ねて屋根の上。
春だから無理もないです。
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月です眠くておぼろです
今回は顔付き。
眠そうなお月さんをわりと大きめに入れて、絵の上の方のスペースを担ってもらおうと思っております。
さて左側をどうしましょう。
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ところで、ラジオ歌謡という番組は、昭和21年から37年までのおよそ16年間に845曲の歌が放送されたという事です。
10分番組で一曲を週5回放送するという形式だったそうです。
レコード化されたのは全曲中一割ほどのようですが、現在まで親しまれているものも多くありまして、「朝はどこから」「森の水車」「さくら貝の歌」「雪の降るまちを」「白い花の咲く頃」「山小舎の灯」以前に描いた「黒いパイプ」もそうですね。
戦前の「国民歌謡」という番組が前身になりますが。国民歌謡は、家庭で歌える流行歌を独自に作る。という当初の主旨から、時代の中で次第に戦意高揚、国策プロパガンダ的色合いを強くしていきます。
戦後になって再び初心に立ち返って始められたのがこの「ラジオ歌謡」という事ですね。
テレビの時代になると「みんなのうた」にその精神は受け継がれ、今に続いている、というわけです。
さて、左側どうしましょうかね。
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歌には出てきませんが、桜の木を描いてみましょう
日本的な風景ではないと言っておきながら、春といえば桜とは。
我ながらこのイメージの貧困さはどうでしょう。
出来上がりもなんかつまらないですね。
保留
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左に塀を描きましょう。
レンガ塀にします。
後ほどここに影を映します。
影です人ですもつれます、の影です。
パースを付けて湾曲。
湾曲はエンベロープツールのワープ(円弧とかアーチとか)で。
これは塀の下の道、石畳風。
組み合わせて、
変形。
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さて、唐突ですが、サトウハチローのエピソード。
裏をのぞく トーメガネ病
(作家)サトウ・ハチロー氏
佐藤紅緑氏の息子さんで、本来は詩人だが、持つたが病ひの賑やかな性分から流行小唄も作ればナンセンス小説も書き、蓄音機会社の仕事もすれば、新宿のムーラン・ルージユや浅草のレヴユウにも関係するといふ、何が本業だか自分でも判らないハチローさん。
「私の書斎ですか、見ない方がいゝでせう、誰でも驚きますからね」「驚いてもかまひませんから見せて下さい」と、二階に上がつて見るとナール程、朱塗の派手なダブルベツドが部屋の真中にドツカと据えてある。イヤーなハチローさん。
「私の体はこんなに肥つているから、起きて仕事が出来ないんです」と、弁解のやうな弁解にならないやうな事を仰る。
「私は近頃、トウメガネの病気にかゝりましてね」----いふ事がいち々変わつている。
体は大きいがいふ事は子供のやうに罪のない?彼氏は望遠鏡を持ち出して
「私は毎日これを覗かないと気持ちが悪いんですよ、二十五倍ですから松屋(浅草)の屋上に持つて行つて方々を見ると、いろんなものが映りますよ、遠くの家の裏二階の夫婦喧嘩やランデブウなどがね」といふ。イヤーなハチローさん。
アサヒグラフ 1932/10/19
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絵の続きを。
桜の木をなんか変な形にしました。
道と壁、壁の向こうに桜。
背景の色は見えやすくする為にとりあえず。
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蔦の葉風のものを。
壁の上になんとなくアクセントみたいなものがほしいかな、と。
男女の影。
これがもつれる訳ですが、
まあ今日のところは上品に、
この程度で。
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こういう葉っぱと、
こんな鉢植えを作りまして、
バルコニーの内と外に、
すきま恐怖症になってしまっているでしょうか。
ごちゃごちゃしてきましたぞ。
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家の向こうに並木を。
こういった木を作りました、
が、
結局、単色でシルエット的にしました。
んんん、なんかごちゃごちゃしている。
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桜も散ってしまいまして、初夏のような陽気になっておりますが、春の絵、続けますよ。
空の色を決めて、
とりあえずここまでの所。
遠くの家並みを。
入れてみましょう。
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音ですなやましサキソフォーン
もうこうなったら、これも入れてしまいましょう。
このお家を塀の向こうに置きます。
サキソフォーンを吹く男。
夜中に屋根でサキソフォーンて。
近所迷惑な話ですが、でも春だから無理もない。
色を調整して、シルエット的に。
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もやです悲しいスーベニア
スーベニアとはお土産とか贈り物と言った意味だそうですが、思い出や記憶、という意味もあるそうです。
悲しいお土産、というよりは、悲しい思い出、の方でしょうね、きっと。
そんな「もや」と、
桜の花びらを散らして、
カーテンをヒラヒラさせました。
さてパーツが揃いましたので、
次回最終修正をして完成をめざします。
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桜の花の色を暗く。
前の蔦の葉も暗く、影を濃く。
バルコニイ内の植木鉢の柄をなくし色を変え、植物の葉の形を変える。
レンガ塀の色を少し暗く。
建物の壁の色を変える。
壁灯の灯りを少し強調。
白猫の色を暗く。
バルコニイの下を暗く。
手前下のもやを濃く。
散る花びらを淡く。
女の人の服の色を微妙に変化。
女の人の髪の毛の色を微妙に変化。
その他ちょこっとしたとこ。
以上のような感じですが、
なんかごちゃごちゃしてるでしょうか。
なんかよくわからなくなってきました。
少し時間をおいて見直してみましょう。
とりあえずこの時点でひとまず終了といたします。
おつきあいありがとうございました。
(2009年4月)
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