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「ブン大将」を聴く。

絵本昭和の流行歌 番外編 其の五

ブン大将を聴く

ブン大将

「ブン大将」
作詞 Henri Meilhac and Ludovic Halevy
作曲 Jacques Offenbach
訳詞 小林愛雄

いつも戦にでた時には
野でも山でも皆乗り越え
敵に負けた事は無いのだ
敵はわしを見れば逃げ出す
わしを見れば逃げる

(*)おお ドドンドンドン トトトタタタ
大将閣下の名はブンブン!
ドドンドンドン トトトタタタ
大将閣下の名はブンブン!
(合唱)ドドンドンドン トトトタタタ
大将閣下の名はブンブン!
ドドンドンドン トトトタタタ
大将閣下の名はブンブン!

(*)くりかえし

いつも戦から帰れば
綺麗な女が来てニコニコ
髭をさすり ながら寄り添い
いつもわしをみれば甘える
わしをみれば甘える

(*)くりかえし

ブン大将を聴く

さて、ブン大将です。

ブン大将? 誰?

むべなるかな。

今回聴いてみるレコードが出たのは昭和6年ですが、この歌が大流行したのは大正時代になります。
大正6年頃から震災の12年までのおよそ7年間、東京浅草において大人気を博したいわゆる浅草オペラのヒット演目のひとつが、この「ブン大将」です。

原典はジャック・オッフェンバック作「ジェロルスタン大公妃殿下」という1867年初演の仏国産のオペレッタで、ブン大将はこの登場人物の一人という事ですね。

Jacques Offenbach
Jacques Offenbach (1819-1880)

ストーリーとかが知りたい人は、ええと自分で調べてね。

とにかくこの本来主人公ではないブン大将が人気で、上演タイトルも「ブン大将」となり、人々の間に浸透してゆきます。

歌の内容はえらく強い将軍を讃える歌のようですが、まあ自分で歌ってる訳ですから、尊大漢たるブン大将の自画自賛ソング、いわば「俺はジャイアン」みたいなものでしょうか。

ブン大将を聴く

歌っているのは徳山璉(たまき)、大正期の人ではなく、昭和に入ってからの浅草喜劇、エノケンやロッパ時代の人です。
デビュー盤「侍ニッポン」を大ヒットさせたのが昭和6年、この「ブン大将」も同じ年の発表です。
その後「ルンペン節」や、戦中のとんとんとんからりっと「隣組」などを歌ったのもこの人です。
いろんなジャンルの歌を唄い、コミックソングなども得意としていたようですが、出身は東京音楽学校声楽科で、歌唱は正統派のバリトンなれば、この「ブン大将」のようなオペラ物は本領発揮という所だったのかもしれません。

徳山璉
徳山璉 とくやま たまき (1903-1942)

残念ながら活躍は十年ほどで、昭和17年、38歳で亡くなっています。

ブン大将を聴く

作詞をしたのは小林愛雄(あいゆう)、原典がありますから、訳詞とすべきかもしれませんが。
初演は大正4年、浅草ではなく帝劇でした。
その前年に上演された小林愛雄訳の「天国と地獄」(これもオッフェンバック作)が我が国初の口語訳詞でのオペラ上演とされています。
その後数多くの作品を翻訳上演してゆく訳ですが、ほとんどが帝劇、その後赤坂ローヤル館時代で、それらの作品が、その後浅草で花開く、という事ですね。

まあ、詳しい事は自分で調べてね。
そんな小林愛雄氏は終戦直後の昭和20年10月に63歳で亡くなっています。

ブン大将を聴く

さて、レコードは昭和6年、日本ビクター蓄音機より
タイトル表記は「喜歌劇ブム大将(大将閣下の名はブム・ブム)」
作曲はオフェンバッハ
となっております。

(2009年6月)

「ブン大将」

 

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