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「小雨の丘」のできるまで。

*Adobe Illustratorを使って描いたイラストレーションの作成過程です。
 罫線のある画像は拡大できます。
 こんな感じの青い文字はサイトリニューアル時に書き加えたものです。

仕事をしていないと作業の手順などを忘れてしまうので、久しぶりに何か描いてみようと思いました。

二年半ぶりぐらいです。

ずっとIllustratorのVar.8を使っていましたが、せっかくなのでCSなどを試してみます。
CS3です。
ちゃんとバージョンアップしているのです。

題材は、昭和の流行歌のシリーズで、「小雨の丘」にしました。
サトウハチロー作詞、服部良一作曲、小夜福子歌うところの昭和15年の作品です。
歌詞はこちらから探せます。

主人公が、小雨の丘に登り、三年前に亡くした母を偲ぶ、という歌です。

まずはザックリとしたラフから。

小雨の丘01

アラまぁ、ホントにザックリだこと。

最初のイメージは一発で、下書きは何枚も描いてカッチリと、という主義です。

きょうはここまで。

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llustrator上で推考したり修正したりするのがいやで、ただ黙々と機械のようにトレースしたい派です。

よってこの程度まで描き込みます。

小雨の丘02

人物のみの最終下書き。
ちょっと悲壮感すぎかも。
小夜福子さんは当時の宝塚男役スターです。
イメージしたわけではないですが、中性的な感じになりました。

下駄を履かせてみました。
この時代の人はみんな下駄を履いていたのだ。 たぶん。

きょうはここまで。

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ベジェを引く、何も考えずに淡々とベジェを引く。

小雨の丘03

トレースが終わったところで仮に色をつけて、いったん置いときます。

小雨の丘04

きょうはここまで。

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主人公の後ろの大きな木を描きます。
今回は木をちゃんと描こうがテーマです。(今決めた)
なにしろ「木の葉も草も そして私も」なので。
これは1番と2番の間に入っている台詞ですが、この「木の葉も草も」と「そして私も」のあいだの間が実に良い訳で、ねがわくば、木の葉も草も、とつなげておいて、ひとつスペースを空けて、そして私も、と表記していただきたい。
どうでもいいけど。

小雨の丘05

下書きは枝ぶりだけ、後で木の葉を付けていきます。
後ろの木立ちと下の草もいくつかいっしょに描きました。

ちなみに2番と3番の間にも台詞が入っています。
リンクさせてもらった細道さんのサイトには残念ながらこの分がはいっていません。
いずれこっそり紹介します。
*歌詞のリンクをUta-Netに換えたので2番の台詞も読めます。

小雨の丘06

例によって淡々とトレースして、とりあえず色を付けておく、と。

小雨の丘07

きょうはここまで。

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木の葉はこの様な簡単なパーツを組み合わせて作りました。

小雨の丘08

反転させた裏返しの形と2パターンだけです。
それを枝ぶりにあわせてつけてゆきます。

小雨の丘09

面倒な作業のようですが、そうでもないです。
こうすると枝の方向にあわせて葉が繁る感じにできるでしょ。

小雨の丘10

枝ごとに作り、前後関係を作ります。
奥や上にある葉は、小さくしたり、彩度を落として暗くしたりします。

小雨の丘11

一応できましたが、スカスカなので、さらに暗い葉の固まりで埋めました。

小雨の丘12

とりあえずこんな感じです。
面倒な作業のようですが、そうでもないのですよ。

きょうはここまで。

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配置とか深く考えないまま草を作る
三種類ほど。

小雨の丘13

あ、きょうはこれだけ。

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大きな木の後ろに入る木立を作る、三本ほど。

小雨の丘14

概ね大きな木と同じ方法で。
でもおおざっぱで。

きょうもこれだけ。

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こりゃまたひどいラフ。

小雨の丘15

全体の構図と、左下の町並み用に作りました。

ところで今思い出したのだが、この絵本昭和の流行歌というシリーズは、できるだけ単純な構図で描こうと決めたのだった。
真横とか、真正面とか。
さらにフラットな塗りでシンプルに。
なんというか貼り絵っぽい感じで。
実はパーツごとにわずかにシャドーを落としてあるのだ。
小さい絵だと解りにくいけど。
思えば最初に描いた小さな喫茶店は2002年だ。
最後のリンゴの唄が2006年となっている。
これだけ時間の差があると、確かに少しずつ変わってきているのが見て取れるな。
自分しか解らないかもしれんが。
というわけで今回は少々趣が違うものになりそうな感じ。
よってこれを、「新・絵本昭和の流行歌」シリーズとする。
もしくは「続・絵本昭和の流行歌」でもいい。
あるいは「絵本昭和の流行歌 2nd Season」でもよい。
もうなんでもよいのだ。
これでいいのだ。
*突然口調が変わってますけど、どうしたんでしょうか。
「絵本昭和の流行歌」は第一集、第二集という分け方にしました。

小雨の丘16

ラフをもとに、できたパーツを配置してみる。

地面を入れる、丘の斜面という感じ。

なんか木の向きというか角度がおかしい。とか言ってはいけません、写実な絵ではないのですから。

きょうはここまでなのだ。

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夜の背景を入れる。

小雨の丘17

雲のところにはグラデーションメッシュを使ってみました。
おお、さすがCS!(var.8からあるけどな)
あわせて人物と木の彩度を落としました。
さらに木の上の方が暗くなるように透明マスクというのを使ってみました。
おお、さすがCS!(これはvar.9からあるけどな)
あと後ろの木のさらに後ろにシルエットっぽく木立を足してみました。
さらにさらに、木や人物のまわりに、ぼやけた光彩の様なものを入れました。

小雨の丘18

小雨に煙る感のつもりです。
これは最背面にアウトラインだけの白っぽいオブジェクトを置いて、適当にガウスでぼかしをかけるという方法をとりました。

思えばこういうことがIllustrator一本だけでできるとは、ありがたい世の中になったものです。
まあ、前からできたんでしょうけど。

感慨にふけりつつきょうはここまで。

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左下の町並みは予定と違ってぼんやりとしたシルエットにほのかなともしびという感じになりました。
しんどくなって手を抜いた訳ではありません。

小雨の丘19

このともしびというやつが大変重要でありまして。
それは二番と三番の間に入る台詞にかかわってくるのであります。
ご紹介しましょう。
これはもう立派な学術的引用なのであります。

「ともしび ともしび
母さんの瞳によく似た ともしび
私は歌おう 私の好きなあの丘で
母さんを想う 心からの歌
ああ 懐かしい思い出の歌」

というわけで、ともしびはどうしても必要なのであります。

ガウスでぼかしたもやの様なものを前に置いて、夜と霧に溶け込む感じにしてみました。
窓の明かりも少しぼかして仄か感をだしています。
最後に雨の線を入れて、印刷範囲でマスクします。
これで一応完成としました。

小雨の丘20

ところが出来たデータが14Mになっとる。
これはどうしたものか。
なんかやってしまったのか。
それともこんなものなのか。
まあ何か気づいていない事があるのだろう。
今回はしょうがない、よしとする。
*Var.8で描いていた第一集の頃はだいたい1M強ぐらいで収まっていたのでビックリしたんですね。
 この「小雨の丘」は特に重くて、最終的に11.7Mほどでした。

ともあれ、久しぶりにMacで絵を描いて楽しかったです。
いろんな機能も使えたし。
また環境を整えて、描いてみたい。
と思ったりして。
ありがとうございました。

(2008年6月)

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